3階級制覇のパンクラシスト・砂辺光久がRIZIN出撃へ! 「内藤のび太と世界一を決めたい!」

現ストロー級のキング・オブ・パンクラシストにして、かつてはフライ級とスーパーフライ級の頂点に立った3階級制覇・砂辺光久が吠える!先日のパンクラスで衝撃の防衛戦をはたし、外部出撃を宣言!! 新たな戦場、そして対戦相手は……? 「あの頃のパンクラス」への熱き思いや、出身地である沖縄の格闘技シーンとともに語ってくれた!(聞き手・高崎計三)




──タイトルマッチの北方大地戦はジャーマン・スープレックスからのチョークという、凄い勝ち方でしたね。ジャーマンはいつも狙ってるんですか?
 

砂辺 狙ってますね。出せるならいつでも出したいと思ってます。以前にもパンクラス沖縄大会で三谷敏生選手に出したこともあるし。あと今回、試合前日に初めて鈴木みのるさんからメッセージをいただいたんですよ。「試合がんばれよ」って。


──ほう。
 

砂辺 普段は全然そんなことないのに。「23年間憧れた鈴木さんに近付けるようにいきます!」みたいなことを返したら、「魅せて勝つのがプロレスラーだ。それがハイブリッド・レスラーだ」っていう返事が来て。それで試合中、バックを取ったときにそのメッセージが本当に頭をよぎったんですよ。「うわっ! ここで投げなきゃそれじゃないな!」と思って投げました。


──鈴木みのる選手のメッセージがジャーマンを!


砂辺 映像では全然映ってなかったんですけど、投げたあとにバックについて首を絞めたときに僕は舌も出してるんですよ。それで相手がタップして。もう、まんまですね。たぶん、23年前の旗揚げ当時、パンクラスの初期メンバーはわかってたんじゃないですか。「カメラがこっちだから、こっちの方を向いて極めよう」とか。もちろん真剣に極めにいくけど、最後の最後で、歌舞伎で言う「見得を切る」みたいな感覚があったんだろうなと思っていて、自分もそうでありたいと思ってるんですよね。


──あの頃のパンクラシストたちと同じ感覚でいたい!と。
 


砂辺 いまはデカゴンで、たくさんのカメラで撮っているとは言え、こっちのカメラがメインだっていうのはわかってるんで、そっち側に向けて舌出して絞め上げて。それって「格闘家」はやらないことじゃないですか。でも自分では「格闘家」じゃなくて「パンクラシスト」なので、それやらないとダメだなと。


──それは「やらない」だけじゃなくて、普通は「やる余裕がない」ことでもありますよね。いざという場面にそれが出るというのは、普段からずっと意識してるからですか?


砂辺 そうですね。昔、美濃輪育久さんがタックルを切るときにパイルドライバーをやったことがあったじゃないですか。あれだって、やらなくていいことだと思うんですよ。でもあのとき、美濃輪さんはパイルドライバーでKOしようと思ってたはずなんですよね。それは僕も一緒で、ジャーマンで相手が伸びてくれれば一番よかったし、そうならなかったから次の展開にいっただけで。1Rの終わりに出したニールキックだって、アマチュアパンクラスのときに出して倒した技でもあるし、プロになってからも吉本光志選手に当てたこともある技なので、倒すつもりで出してるんですよね。美濃輪さんは「無謀」って呼ばれてましたけど、全部、倒そうと思って本気で出してますから、遊びっていう感覚じゃないんですよ。


──スリーパーにしても、全力で絞め上げることと舌を出すのがセットなんですね。


砂辺 そうですね。伊藤崇文さんと対戦したときは慌てちゃってできなかったんですけど、今回はできました。それにそこまでやったら極めきらないとダメじゃないですか。それで逃げられちゃったらダサいんで(笑)。


──では、今回の試合については満足できる結果ですか?


砂辺 満足っていうのは僕じゃなくて、お客さんが決めることじゃないですか。自分では満足しててもお客さんが「うーん……」って言ってればそういう試合だってことだし。でも、周りの人たちとかネットの反響を見ると、「ああ、満足してくれたんだな」と思いましたね。対戦相手を応援してくれてた人の中からも「あれは圧巻だった。あれにだったら負けても仕方ないと思えた」という言葉をもらいましたしね。「砂辺さんが試合後にベルトを持ったまま物販に立って、ファンと写真を撮っている姿を見ると、いまの大地じゃ勝てなかったと思いました」という言葉を聞くと、お客さん的には納得してもらえたんじゃないかなと思いましたね。


──なるほど。試合前の調印式の時には、「ISAO vs 高谷裕之」や「マルロン・サンドロvs松嶋こよみ」というカードに比べての自分の試合の扱いに対して、物申してましたよね。そのあたりへの意地もあったんですか。


砂辺 もちろんありましたよ! 大会告知画像で僕の試合は使われないし、パンクラスダービーの対象でもなかったんですよ。それはずっと「違うだろ? 何なの?」って思ってて。それを決めてるのが団体なのか、酒井代表なのかはわからないですけど、「は?」って。確かに、キャッチーだとは思いますよ。元DREAMチャンピオンの高谷さんと、元パンクラス・チャンピオンのISAO選手。サンドロvsこよみもそうでしょう。でも「パンクラスの一番を決める闘いが大会の象徴じゃないとダメでしょう?」とずっと思ってて、ずーっとくすぶってたんですよ。会って直接言ってやろうと思って。それで直前番組でも言ったし、前日計量でも言ったし、試合後のケージの中でも言ってやろうと思ってたんで。


──そういう気持ちを抱えてたんですね。


砂辺 それをハッキリ言う人っていないじゃないですか。自分の試合は公開練習もなかったですしね。それだけ注目してないんだなあと、メインになっただけマシだったんだなあと。以前は自分の試合がセミで日沖発選手の試合がメインだったこともありましたからね。


──ありましたね。


砂辺 パンクラス・ランカーでもないし、UFC帰りでキャッチーだからメイン。でも俺はセミでしっかり仕留めて勝って、日沖選手は判定で。そういうのもいろいろあって、くすぶってたんですよね。いろいろな選手がパンクラスに出てくれるのはうれしいんですよ。どこどこのチャンピオンだとか、UFCファイターだとか。ただ、この舞台はパンクラスでしょ?っていうのが強いので。


──その主張を酒井さんに直接ぶつけて、それが「外に出て行く」という流れにつながりましたよね。


砂辺 いや、それがあるから外に出て行くってことではないんですけどね。まず、この扱いは違うだろ、と。で、外に出て行った人間が帰ってきたときに、キャッチーだっていうんで扱いがよくなってるわけじゃないですか。だったら「外に行って有名になってまた戻ってくれば、おまえがいたい場所にいられるぞ」っていう酒井さんからのメッセージなのかなとも思ったんですよね。ISAO選手がベラトールに行ったりとか、高谷さんが元DREAMのチャンピオンだったとかというのも踏まえての注目度であって、砂辺は井の中の蛙で、吠えてるだけとしたら、おまえが出て行って戻ってきたらその扱いになれるぞっていう送り出しなのかなと思って。


──これまでは「俺とやるならパンクラスに来い」というスタンスでしたよね。それに対して、「出て行くのが怖いだけだろう」という反応があったのも確かです。そこからすると、180度の変化ですよね。


砂辺 そうですよね。もう何年も「パンクラス王になる」って言い続けてるんですけど、3階級で初代王者になって、防衛戦もやって、昔のパンクラスでやってたような無差別級の試合もやって、得るものを得てパッと自分の周りを見て、「パンクラス王って誰なの?」と思って。まだ、すぐ自分の名前は出てこないと思ってるんですね。周りに聞いても「ISAO」って言う人もいるし、「石渡伸太郎」って言う人もいるし。以前からのファンは「近藤有己」とか「川村亮」って言うかもしれない。でも昔は、「パンクラス王」は鈴木みのる・船木誠勝だったんですよ。


──そうでしょうね。
 

砂辺 でもいまは、もしかしたら酒井代表の名前が出るかもしれないし、旬で言ったら中井りんの名前が出るかもしれない。俺は「いまは中井りんなんじゃないか?」って、試合前には思ってたんですよ。


──同じ大会ではRIZINでの新コスチュームお披露目のためだけに登場してましたしね。


砂辺 それだけのために地方から呼んで、時間を取ってるわけじゃないですか。俺はAbemaの解説とかの番組にも呼ばれないわけですよ。もちろん沖縄ってこともあるとは思いますけど。でも、パンクラスをずっと背負ってきた人間を、金出してでもフィーチャーしないでどうするの?っていうのもあったんですよ。そういうのもフツフツとあって。だからそういう意味では、中に籠もってたらパンクラス王にはなれないよなっていう気持ちもあったんですよね。


──中井りん選手もUFCにも行ったし、今回はRIZINにも出ましたしね。


砂辺 だから会社も押すし、パンクラスというとすぐに名前が出てくる。僕が思うパンクラス王って、チャンピオンだからとかじゃなくて……例えば、プロレスの王様って、いまだにアントニオ猪木なんですよ。武藤敬司でもなく棚橋弘至でもなく、オカダ・カズチカでもなく、いまだに猪木なんですよね。そこは崩れてない。パンクラスも、いまだに鈴木・船木が崩れてない。でもそこは崩さないとダメなんですよ。「もう猪木さんの時代じゃない、俺たちの時代なんだ」ってならなきゃダメだと思ってるので。自分がそうなるには、パンクラスの中で何かを開拓していっても、そこにはつながらないと思ったんです。だから、外に出るいいタイミングなんじゃないかと。それはあくまで「パンクラス王になるため」であって、例えばONEに行くとか、UFCに行くとかじゃなくて、あくまでパンクラスのベルトを持ったままで外に出て行って、王様になりたいということなんです。


──ほかの選手に名乗らせておくわけにはいかないと。


砂辺 はい。だから、卒業はしないですけど、ケージでの酒井代表の言葉はいい卒業式だったのかなと。「外に出て行く」ということに対していろいろくすぶってたものが、あの言葉で、「ああ、行っていいんだ」と。「そうだよな、そうじゃないと俺は王様になれないよな」と吹っ切れたんですよ。これが2〜3試合前だったら、同じことを言われても「何言ってるんですか、自分はパンクラスにいますよ!」ってなったと思うんですよね。それが、試合の扱いに対してくすぶってたものがあり、「どうしたらパンクラス王になれるんだろう?」って考えてたこともあり、そこであの言葉があったので、本当にベストのタイミングだったと思います。


──あの勝ち方の後でもあったし。


砂辺 判定だったら言ってなかったですからね。「ISAOvs高谷、サンドロvsこよみ、凄かったね」ってなってたと思うんですけど、試合内容でもその2試合を超えたと思ってるんで。
 

──で、出て行く先は……。

 

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